2012年3月18日日曜日

秋田地魚番外編〜築地のマグロせり見学

朝早くからの会議のため東京に前日入りすることになった。せっかくなのでかねがね行きたかった築地場内市場に行ってみようと思い立つ。しかし調べてみると、場内市場を見学出来るのは朝9時から。それでは会議に間に合わない。会議と築地のどちらが大事かといえば、当然、築地である訳で、しかし、クビも掛かって来る訳で、小心者は次の手を探すことにする。と、マグロのセリ見学が出来ることに気がついた。しかし、マグロのセリ見学は受付が朝5時から、それも先着120人まで。外国からのツアーもあるようなので、恐らく受付時間に行ったのでは間に合わないだろう。なので、少なくとも30分前には受付に並んでいたい。その場合、当然のことながら一気に起床時間は早くなり、同時に就寝時間も早めなければならず、久方ぶりの東京での晩酌が出来ない。晩酌と築地のどちらが大事かといえば、当然、どちらも重要な訳で、しっかり晩酌を済ませて23:30就寝。翌朝4時、直ちにスーツに着替えて、寝ぼけ眼をこすりながら築地を目指す。10分ほど歩いて4時半に受付到着。しばらく歩道で待たされるが次々と外国からの観光客が訪れ列がどんどん伸びていく。5時前には待合室のような場所に通されるが、この時点で受付は終了。ホームページの案内にも、受付時間を早めることがあると書いてはいたが、本日もあっという間に120人に達したよだ。早めに来て正解であった。20坪程度であろうか待合室は、外国からの観光客で満員で、見渡してみるが、案内してくれる管理人を除けば恐らく日本人は私1人。120人に対して1人である。とても緊張してしまい、コミュニケーションも、唯一、アベックの写真を撮ってあげた程度で、そのアベックがどこから来たのかも聞かず終いであった。管理人は当然日本人なのであるが、若い方はそれなりの英会話を身に付けていて、その方々を前にしてカタコトで話すのがとても気恥ずかしいのである。だがせっかくの機会であったのにと、とても後悔しているところだ。


さておき、5時15分にツアー開始となる。年配の管理人が「ワンライン、ワンライン」と誘導してくれる(やっぱり和製英語で十分なのだ)。待合室から「鮮魚荷捌場」と書かれた建物に向かうが、すでに現場はターレットが縦横無尽に動き回っている。よそ見などしていると本当にぶつかってしまいそうだ。



築地のケンコバさん?
マグロのセリ場に到着。冷凍マグロが場内一面に整列して静かに横たわっている以外は、時折、仲買人同士の話し声が聞こえてくる程度で、思いのほか静かで、拍子抜けする。仲買人達は、懐中電灯を手に、一尾一尾、筒切りにされた尾部を照らして眺めたり、手カギで肉片を削り取り、肉質を判断しているようだ。近くの1mほどのマグロには、「モンテ」と書かれた札が付いている。遠くには2m以上もあるような大マグロが霞んでみえる。それから10分ほどしたであろうか、マグロの行列と目利きの様子を見てツアーは終わりなのかなと考えていた矢先、カランカランカランと目の前にいたケンコバ似の兄さんが、けたたましく鐘を打ち鳴らした。ケンコバさんが、小さな木製の台にちょこんと上がって被っていた帽子をとり、仲買人に挨拶を済ませるや否や、セリは始まった。セリ人のケンコバさんは、マグロの番号を○○番と呼び上げた後、「インマルエー、インマルエー」、「ハチマルエー、ハチマルエー」(のように聞こえる)などと価格を仲買人に呼びかけていく。仲買はケンコバさんに手でサインを送っていて、どこかの時点で値段が決まっているようなのだが、良く分からないうちに取引は進んでいく。そうしなくても声は出るのにと思うのだが、ケンコバさんは腰から下は小さな屈伸、腰から上は前後に揺れながら、調子をとり価格を呼びかけている。そうして5分もしたであろうかセリが終わる。と思ったら、別の区画で同じように鐘がなりだした。恐らく、ケンコバさんが本日最初のセリを手がけたのだったろう。ひととおりセリが終わると、休むまもなく仲買人達は競り落した獲物を運び出す準備に入っている。
管理人の案内で荷捌所の外へ出ると、すでに夜は開け、築地は一層賑わいを増していた。途中、立ち止まって写真を撮っていると、管理人から「Don't stop!」と注意されたので、「Sorry!」と返してみた。


帰りは、場外の寿司屋でマグロを食べる。食べながら、さきほど見た「モンテ」の札は、モンテネグロ産の意味なのかなと思い携帯で検索してみる。あぁ、モンテネグロはここにあったのか。あのマグロは地球の裏側から来たのか。などと勝手にグローバルな空想をする。それが確かなのかも、食べたマグロがモンテネグロ産がどうかもまったく分からないのに、なんとなく地中海のさわやかな風を浴びたよう味がした。我ながら勝手なものだと苦笑いする。

2012年3月12日月曜日

掛魚まつり(その2)


毎年、立春2月4日は、「掛魚まつり」がにかほ市金浦で行われる。別名「タラ祭り」。この祭りの
最大の見所ともいえる金浦神社への大タラ奉納の様子は「掛魚まつり(その1)」に記したが、当然、タラ汁の振る舞いも行われる。朝飯も食べずにはるばる来たのである。主役のタラを食べないことには話が始まらない。振る舞いはいつも金浦神社前の勢至公園で行われるのであるが、今回は神社での神事の様子をほとんど最後まで見学していたため、タラ汁のテント前にはすでに長蛇の列が。残念ながら、タラ汁にはありつけそうも無い。熱々のタラ汁に舌鼓を打つ人達を見てはうらやむばかりで、泣く泣く祭りの会場をあとにした。






が、ここで引き下がっては、「総本舗」の看板にかかわる由々しき事態でなる。そこで、帰り道、直売所でタラ切り身を入手し、自宅に戻りタラ汁を作ってみる。「掛魚まつり(その1)」でも書いたが、今年、秋田では時化が多くタラの水揚げが少なかった。直売所のタラも青森産で、正確には秋田の地魚ではないのだけれども、それはそれ、これはこれ、地魚しか扱わないとなれば、サンマも食べられなくなってしまう。何がなんでもタラを喰わねばならぬのである。
寒風のなかで体が温まるといえば味噌なのであろう。しかし、淡泊なタラの身を味わうには塩味が良いと思う。しょっつる(ハタハタの魚醤)も隠し味にするとコクが深まるので良い。秋田では岩海苔も欠かせない。たしかに味噌は一気に体を燃焼させてくれる気がするが、塩味もしみじみと体に染み渡る。

切り身は、玉ねぎの細切りを敷いた上に置きアルミホイルで包み、蒸し焼きにする。ほろりと崩れる淡泊な身には、玉ねぎの甘味が染み込んで、そのままで十分美味しいし、レモンの酸味やバターとも良く合う。

ダダミは湯引きしてポン酢。それに天ぷらにもしてみる。



ポン酢は、濃厚で、それでいてしつこくは無い白子を味わわせてくれる。天ぷらは、熱々をほおばると、サクサクとして甘い衣と、ねっとりとした白子とのコントラストが、これまたうまい。たらふく喰らい大満足の一日であった。味噌仕立てのタラ汁は、また、来年に取っておこう。