2013年2月17日日曜日

ギバサ王国 秋田



 FAO(国連食糧農業機関)の世界海藻統計によれば、ギバサ(アカモク)の消費量世界一は秋田県で、県民一人当りで年間800gは食べるという。というのはまったくの嘘八百であるが、実際に統計を取ってみれば、県民一人当たり年間消費量は秋田県がトップになるはずだ。というのも、秋田県内のスーパーには、パック詰めのギバサが一年中途切れることなく並んでいるし、季節にもよるがギバサ入りのつけ麺も登場する。コンビニの棚にもギバサがのっかった麺が並び、料理屋では丼物にギバサがのっかり、ドライブインでもうどんとコラボしている。乾麺だってあるし、干しもちもある。寿司屋にいけば軍艦にのっかり回転している(参考)。以前はギバサ茶さえあったのだ。その気になれば、毎日24時間ギバサにまみれて生きていくことができる。まさに秋田はギバサ王国なのである。特に今の時期、1月~2月には生ギバサが店頭に並ぶ。ところが、この生ギバサに関して云えば、実はすべて県外産なのである。




石川県、新潟県産が多い「生ギバサ」
 今でこそ、季節を問わず野菜が手に入る時代であるが、その昔、寒さ厳しく、深い雪そして鉛色の雲で覆われる秋田では、野菜の代用として生ギバサを県外から仕入れて食べていた。これに遅れること、秋田産のギバサは5月中旬から6月初旬に成長して旬を迎えるが、この時期、秋田県民の目は、野山で芽を出す山菜に向いていくのだ。せっかく地元でも獲れるのにもったいない話のようでもあるが、この生ギバサはパック詰めの原料になり一年中楽しませてくれる。
 つまり、その自給率は100%ではないけれども、ギバサ王国は雪国秋田だからこそ立国し得たのである。ところで、ギバサ食文化が無い地では、魚網に絡まったり、船の行く手を阻んだりするので、ギバサ(アカモク)のことを「邪魔もく(もく=アカモクなどホンダワラ類の別称)」とも呼ぶ。その「邪魔もく」を何に使うのかを問い質された秋田県人は、食糧にするとは恥かしくて云えず「馬の餌にする」と返答したとの逸話もあるそうだ。だからウマクサとも呼ばれるそうだ。


コンビニのぶっかけ中華

大人になったギバサが粘る
 さて、ギバサといえば、あの強烈なネバネバヌルヌルが特徴なのであるが、これは食物繊維の一種でフコイダンと呼ばれ、血圧やコレステロール低下作用など様々な効果があると云われている。最近、秋田県以外でもギバサが健康食品として注目されている理由がそこにある。さらにバサなどホンダワラの仲間には、日焼けのもとであるメラニンの合成を抑制する、つまり、美白効果があると云われているのだ。そう、秋田美人はギバサ王国が生み出すのだ。そんな、また嘘ついてとお疑いの皆さんもいるだろうが、証拠をお見せしよう。加藤夏希に佐々木希、それに藤あや子、さぁどうだ。この三人を並べられたら、どんなに疑い深い人でも頷かざるを得ず、ギバサ=秋田美人の関係に同意するしかないであろう。ちなみに我が妻は生粋の秋田県人であるけれどもギバサは嫌いなようだ。
秋田美人はギバサがつくる?
 それとフコイダンは、水温が上がりギバサが成熟してくると大量に作られることが分かっていて、その時期が秋田では5月中旬から6月初旬にあたる。つまり、あのネバネバでヌルヌルの粘液が出てくるということは、ギバサが子孫を残すことの出来る体になった証なのである。子孫を残そうとするような時に粘液が関係しているのはギバサも人間も一緒のようだ。
 だからギバサを食べ過ぎるとムラムラするという説もある。その証拠に壇蜜は三食欠かさずギバサを食べているという(ウソです)。

本日のレシピ

ギバサかけご飯

①生のギバサ(200gもあれば、ご飯10杯はいける)
②熱湯
③酢醤油(あるいはポン酢)におろし生姜など

(1) ①を水道水で洗い、雑物を落とす。
(2) ①をザルにあけて、②で湯通しする。
(3) お湯を切った(2)を、ひたすら刻む。
(4) 冷えたところで、③を混ぜ込み、ご飯にかけていただく。

2013年2月13日水曜日

布袋様降臨

 先日、神様に出会った。それは仕事帰りに立ち寄ったスーパーでのことであった。人生にはさまざまな出会いがあるものだが、神様に会えることなど滅多にあるものでは無いし、会ったことを口に出した途端に周りから人が離れていくだろうから、会ったという話を聞くことも無い。でも、会ってしまったのである。そのうえ、あろうことか、神様を煮付けにして食べてしまったのである。そして、その話を今ここにつまびらかにしてしまうのである(あっ、離れて行かないでくださいね)。
 真冬のとある日、鮮魚売り場の片隅に神様は鎮座していた。それも細切れのパック詰めの御姿で。ラベルに名前が無ければ神様だとは気付かなかったかも知れない。家族や友人と離れて生きていく自信が無かったので沈黙を守っていたのだが、実は前にもこの神様に出会ったことがある。その時は尾頭付きで、といっても、尾も頭もあのでっぷりとした太鼓腹に申し訳程度に付属しているだけだ。そう、太鼓腹の神様と言えば布袋様のこと、そして、この季節の鮮魚売り場にいる布袋様とはホテイウオのことである。秋田では「ごんこ」と呼ぶ。

鮮魚売り場の布袋様
秋田では11月~2月頃にかけて見かける
浜では、この魚が獲れ出すとハタハタ漁も終わると云う
こちらは以前お会いした際の尾頭付きの布袋様

同上、ご尊顔

同上、湯通し後
ぬめりを落とすため熱湯注ぐと、布袋様は面白いほど縮む

細切れの場合も、熱湯を注ぎ表面のぬめりを洗い落とす
卵は塩水でぬめりを洗い流して、軽く湯通しした

細切れの神様を改めて観察すると、なんと卵も入っているではないか。卵を調理するのは初めてであるのでいろいろと調べてみると、アクが強いということが分かった。確かに数粒食べてみると苦い、それにゆるい粘液で覆われている。なので卵は塩水で粘液を洗い流して軽く湯通しにした。細切れの身肉も同じように湯通しして、皮表面のぬめりを洗い流す。秋田では味噌仕立ての汁物にするのが一般的なようだが、今回は煮付けにしてみる。


厚さ2mmほどはあろうかゼラチン質の皮のニュルニュルと、しっとりとした白身の身肉、それに口中で弾ける卵それぞれの持ち味が渾然となった美味さである。今宵もビールが進む。もちろんエビス?


本日のレシピ

ごんこの煮付け

①ごんこ(ホテイウオ)半身程度
②水100ccに対して、酒50cc、みりん50cc、醤油50cc、砂糖大さじ1の配分で、①に適量の煮汁を作る。
③沸騰した煮汁②に、①を加えて、落し蓋をして煮付ける。


2013年2月11日月曜日

2月9日はふぐ祭り

2月9日はふぐの日。ということで、2月9日・10日の両日、地元の道の駅で「北限のふぐ祭り」が開かれた。祭りといってもお囃子やお神輿の練り歩きはなく、ふぐ鍋の振る舞いと、加工品の即売会ではあったが盛況であった。秋田フグについては、北限の秋田ふぐ(その1)をご覧いただきたいが、今回の祭りでは、キング オブ フグの呼び声も高いトラフグの刺し身や鍋を始め、ゴマフグのしゃぶしゃぶに、酒かす漬や白子の味噌漬、ショウサイフグの唐揚げに、身皮や煮凝りなどなど、秋田フグを堪能できる品が並んでいた。それに、ゴマフグでは黒砂糖で味付けされた唐揚げなど新しいフグの食べ方も開拓されて、秋田フグの知名度と食文化も少しずつ充実してきているのが実感できる。
第1回 北限のふぐ祭り
ショウサイフグの唐揚げが飛ぶように売れる
リーズナブルな価格で本格的なふぐ刺しが家庭で楽しめる
ふぐ鍋(トラフグ)、しゃぶしゃぶ(ゴマフグ)も手軽に
訪れた人たちは手に手に商品を取り上げては、①熱々のフグ鍋を一口、②ビール、③刺し身を三切れ、④ビール、⑤唐揚げ、⑥ビール、⑦またまた熱々のフグ鍋、⑧冷たい煮凝り、⑨ビール、といった具合に、頭の中で豪華な晩御飯をシミュレートしているようだ。

晩御飯のシミュレート中
あらを入れて、アクを取りながら煮込んだ後、野菜と肉を投入

もちろん、我が家でもトラフグ鍋セット1,500円をゲット。専門店ならば4~5千円はするそうだ。解凍物だとは思うが、ここのフグは確か冷凍方法に秘密があるとのことで、身は熱を通しても固くなることがなく、張りがあって、細かな肉の繊維を歯が断ち切っていくのを感じることが出来る。最後はフグ雑炊にしていただく。2月9日だけではなく、毎月29日をふぐの日にして欲しいと願う。さて、この日のふぐ祭り、神輿は出なかったが、しっかりと出たトラフグのだしを堪能できた。

今日のレシピ

ふぐ鍋

①ふぐ肉、あら半身程度(ぶつ切り)
②白菜、春菊、長ネギなど野菜類:適量
③ダシ昆布:適量

1.水(適量)に③を入れて、火にかける。沸騰する直前に③は取り出す。
2.その後、①のあらを入れて、アクを除きながら、5分程度煮込む。
3.①の肉と②を入れて、さらに煮込む。肉に火が通ったら、ポン酢、万能ねぎ、もみじおろしで頂く。
4.残った出汁、卵、ごはんで雑炊も楽しめる。

2013年2月5日火曜日

三五八の真実

三五八をご存知であろうか。三五八とは東北地方の漬け物の仕込み方法のひとつで、塩、米、糀の割合を3:5:8として仕込むことに由来する。それぞれが混ぜ合わされた三五八漬けの素も市販されている。モナ・リザの顔が1:1.6の黄金比で描かれているのは有名な話だが、ここで何か気が付くことはないだろうか。そう、塩と米の3:5、米と糀の5:8が、それぞれ1:1.6の黄金比になっているのだ。すなわち三五八は黄金比の二重奏なのである。美味しくないわけが無いのだ。
と考えて、スーパーから「ハタハタの三五八漬け」を買って食べてみた。普段は自家製でハタハタの三五八漬けを楽しむのであるが、この冬のハタハタ漁は振るわなかったので、自家製を作ることが出来なかったのである。なので、どうしてもハタハタが食べたくなり、買ってきたのであるが、果たして焼いて食べてみると期待したほど美味しくない。魚の三五八漬けでは、ハタハタが一番美味いと言われる位なのであるが、不思議に思い原材料を見直してみた。すると、ハタハタ、トウモロコシ、トウモロコシ糀、食塩、唐辛子とある。試しに別のスーパーの三五八漬けも試してみたが、同様な感想であった。やはり原材料はトウモロコシが入っている。

三五八漬けトウモロコシバージョン

トウモロコシバージョンの焼き物・・・・・

米や米糀を使うからの三五八なのであって、トウモロコシであれば、米に不足する部分を補う必要があるのではなかろうか。真っ先に感じるのは甘みの無さである。たぶん、トウモロコシでは米のような甘さが出てこないのであろう。ならば、三五十五とか、三八二十四にする手もあるのではなかろうか。せっかくの美味しい魚である。その旨さを損なわず味わい尽くしたいものである。

黄金比の二重奏

自作中
糀が作り出す糖分などが作用するのか輝きが違う。それに甘い!

ところで、どうにか鮮魚のハタハタが入手できたので、自家製三五八を漬けてみる。仕事の都合で、取り出すのが計画よりも一日長くなってしまったのであるが、そのせいか、少しばかり、しょっぱいことを除けば、しっかりとした甘みがのり、それでいてハタハタの淡白な味わいを打ち消すことなく、引き出していて美味い。三五八漬けは、ハタハタの旨さを最大限に引き出す調理方法の一つだと実感する。もちろん、スーパー物と違い、エラやハラワタは取り除いてあるし、塩でぬめりも洗い落とすなど下処理をしたものであるが、手間をかける価値は十分にあると断言するものである。ぜひ、お試しいただきたい。


本日のレシピ

 ハタハタの三五八漬け

  ①ハタハタ数匹
  ②三五八(市販)適量
  ③塩適量

  ハタハタのエラとハラワタを除き、塩をまぶして10分ほど置いて、水で表面を洗い流して
 ぬめりを取り除く。
  三五八適量をまぶして、冷蔵庫で1日(~2日)程度置く。
  その後、三五八は水洗いして落としてから、焼き物とする。