2013年5月18日土曜日

春満開の桜ます三昧

 春と言えば桜。桜と言えば、思い浮かぶのはサクラマス。秋田の海では1月から6月頃までサクラマスが獲れるが、水揚げのピークは、年によって違いはあるけれども、やはり桜の開花宣言が聞こえてくる4月頃。ちなみに今年2013年の一番早い桜の開花宣言は、県南部のにかほ市で4月15日。




 さて、場所は近くのスーパー。普段は切り身になって並ぶことが多いが、男鹿半島は北浦産の丸のままのサクラマスを見付けた。その隣には、最近、秋田でも多く獲れるようになってきた、やはり丸のサワラが並んでいて、どっちを取るかで大いに迷う。陳列ケースの前で、空の手提げかごを持ちながら、しばらくうろうろしていたが、サワラはこれからもお目にかかる機会はあるだろうし、これ以上、うろうろしていると万引きGメンが動き出すような気もしだして来たので、10分ほどして、ようやくサクラマスに手を伸ばす。決め手はサイズも手頃で、それに値段も安かったことだった。
銀色のウロコが剥げていますが、740円也。

桜色の身、とても柔らかくて崩れやすい
さっそく自宅に持ち帰ると、サクラマスに詳しい友人に電話をかけて、食べ方を学ぶ。「ルイベにして刺身でも食べたいのだが」と聞くと、友人曰く「ルイベで食べるには急速冷凍じゃないと怖いよ」と言う。「怖いよ」と言うのは、つまり寄生虫アニサキスのことだ。調べてみると必ずしも急速冷凍ではなく、家庭用冷蔵庫でも時間さえかければアニサキスは死んでしまい悪さはしないようだ。なので、ルイベにして食べても良かったのだが、後々その事が友人に耳に届けば、自分は信用されなかったのだと、彼はきっと機嫌を損ねるに違いない。決してアニサキスなぞ怖くなんか無いが、彼との友人関係に亀裂が入ることはぜひとも避けたい。だから、ルイベは止めることにする。あえて言うが、ルイベを止めた理由は、アニサキスが怖いわけでは無いのだ。
 ということで、ルイベの代わりに、彼が教えてくれたのは、ガラを使った潮汁。サクラマス以外の材料は、塩にジャガイモとニンジンにネギだけといたってシンプル。出来るだけ純粋なサクラマスの美味さを味わいたいと考えていただけに持ってこいの調理法だ。重ねて言うが、アニサキスなんか怖くは無い。
絶品 潮汁 
塩を振って一日置いたガラからのダシが美味い。上品で澄み渡っていながらも、しっかりとしたコクのある汁が美味い。これに野菜の甘さが加わる。サクラマスとジャガイモとが、互いの旨味と甘みを引き出しあっているといった感じ。熱い汁を飲み込むたびに、食道や胃袋にも味覚があるかのような錯覚を覚えるほど、深みと余韻のある旨さがしみじみと美味い。ガラだけだと寂しいと思い、少し切り身を入れてみたが、比べてみると背骨周りの肉には、身とは違った深い旨味を感じる。酒やみりんを加えるレシピもあるようだが、塩と素材の持ち味だけのシンプルイズベストを実感。スーパーでガラだけを売ってもいけそうな気がする。

定番の塩焼き シンプルイズベスト
続いては、定番の塩焼き。これもシンプルイズベスト。繊維質の身肉が細やかな歯応えになり、淡白ななかにも、しっとり甘く美味い。
 若い人や子供にはムニエルも良いと思う。淡白な身がバターの脂を受け止めて合う。フライパンに残ったサクラマスのダシと焦がしバターに、バルサミコ酢を加えて煮詰めると、バルサミコソースが出来上がる。これがまた、一流シェフになった気がするほどムニエルに合うのだ。

桜鱒のムニエル 旬のワカメを添えて
まさに春満開の桜マス三昧。
 ルイベにしなくて本当に良かった。友情のため何度でも言うがアニサキスなんか怖くない。

本日のレシピ

桜鱒の潮汁
①サクラマスのガラに塩適量をふり、冷蔵庫で一晩寝かせる。
②ジャガイモ、人参適量を水から煮て、沸騰したら、①を入れて弱火で10分〜15分ほど煮込む。
③途中でネギを入れが通ったら出来上がり。

桜鱒の塩焼き
①サクラマスの切身に塩をふり、10分〜15分ほどおく。
②①の水気を拭き取ってから焼く。身が柔らかいので、注意しながら両面を焼き上げて出来上がり。

桜鱒のムニエル
①サクラマスの切身に塩コショウをふり10分ほどおいて下味をつける。
②①の両面に小麦粉をまぶす。
③フライパンで適量のバターを溶かし、②の皮目側からこんがりと焼き上げる。
④焼き上がったら皿に盛り付けレモン汁などで。
⑤バルサミコソースは、④を取り上げたあとのフライパンにバルサミコ酢を注ぎ、煮詰めればできる。




2013年5月12日日曜日

春告藻(その2)

 春告藻(その1)から、一か月にもなってしまい、春を語るに、時すでに遅し感は否めないところがあるけれども、めげずに春告藻(その2)。
 ということで今回はワカメ。
 確かに水揚げのほとんどを占める養殖ワカメの収穫は、地区によっては2月中旬頃から始まり、大半の地区で4月一杯までで終わってしまう。この時期のワカメは、特に男鹿半島では、干しワカメに加工する様子が「わかめのカーテン」とも呼ばれて春の風物詩の一つとなっているが、これもよくよく聞いてみれば、実に手間のかかる作業のようだ。


 春と言えども青空が多くない秋田では、たまの陽射しを見付けては、広場に広げ干したり、棚に吊るしたりと忙しい。基本的には、その日の朝一番で収穫したワカメは、その日のうちに干し上げてしまうそうだが、天気が崩れることもしょっちゅうで、そんな時には、すぐさまガレージや倉庫の中に移動しなければならないそうだ。
 そんなこともあるので、出来るだけ早く干し上げるために、一本一本、根元の方から茎に切込みを入れ、葉の先端に向けて、手で引き裂いたりすることもある。これで、水分の特に多い茎や中芯の厚みを薄くして、干しあがるまでの時間を短くする。一昔前までは一家総出での干しワカメ作りであったそうだが、現在では従事する人も減り、「わかめのカーテン」が見られるのも少なくなってきている。




 ところで、養殖ワカメは例年4月一杯までだが、5月からは天然ワカメの収穫が始まる。養殖物に比べると、小さめであるが、特に根元の「メカブ」が柔らかくて、かつ甘くて粘りが強く、美味いらしい。ただ、獲る漁師も少ないので、残念ながら店頭では、なかなかお目にかかることが無い。
 と思っていたら、男鹿半島の鮮魚店で、見付けてしまった。


 お店のおばさんは、「刻みメカブにするときは、湯通しする前に刻むと簡単だよ。」とか、「天然物は少し苦味があるので、湯通しする前に、重曹をひとつまみ入れるといいよ。」、「天然物は柔らかいけど、今年のは少し硬めかな。」だとか、いろいろと教えてくれる。それと、聞いてもいないのに、ワカメ酒の作り方まで教えてくれた。念入りにしっかり洗うことがコツだそうだ(ウソです)。
 さっそく、湯通しして刻みメカブにしてみる。重曹は使わなかったが、特に苦味は感じない。

これが天然メカブだ

湯通し中 フコキサンチンが赤から黄色に変わる瞬間
たしかに甘い。少しおおげさかも知れないが、「おっ」っと声に出してしまうほどの甘さを感じる。それに粘りが凄い。ひきわり納豆を30回ほどかき混ぜたような粘り具合だ。今度はご飯にかけて食べてみようと思う。 


本日のレシピ

天然わかめの刻みメカブ

①メカブ5~6個
②熱湯
③よく洗った①に、②をかけ回す。
④冷水に③とり、少し冷ましてから刻む。(刻んでから③でもOK)
⑤そのままでも、酢醤油などお好みの味付けで。