2013年7月17日水曜日

ベニズワイガニの実力(その2)

 前回からのつづきです。
 今回は「刺身」、「煮がに」。それと煮がにの煮汁を使って「カニ炊き込み飯」を作ってみました。
では「刺身」から。

件のレシピ集「境港ベニガニ料理御指南」↓↓↓
http://www.pref.tottori.lg.jp/secure/415097/090318benigani_recipe.pdf
には載っていないのであるが、やはりどうしても「刺身」は食べてみたい。ので、ズワイガニの刺身の作り方などを参考にしてみる。
 まず、脚の第一関節から先を切り離す。この時に切り離した先っぽは、もったいないので煮がにの材料とする。次に第二関節の付け根の部分にキッチンバサミでパチンパチンパチンと3か所に切込みを入れる。これが少し分かりにくいのであるが、関節の内側、つまり脚が曲がり込む側の両脇2か所の凸部をパチンパチン、関節の外側の凸部を1か所の都合3か所にそれぞれ切込みを入れる。そして、切込みを入れた脚を沸騰したお湯にシャブシャブのようにくぐらせる。シャブシャブと5秒ほどしたら、あらかじめ準備しておいた氷水に付けて冷まし、切込みの部分でねじり殻を外す。殻の取れた脚を氷水に漬けることさらに10分。で、花が咲いたような刺身が出来上がり。という計画であったのだが、何をどう間違えたか、少しばかり萎んだ花となってしまった。というよりも、ベニズワイは花が咲きにくいのかも知れない。
刺身 次は薄皮もしっかり味わいたい
それと、花を咲かせようと殻を外した際に、かに肉の周りにまとわり付いていた淡紅色の薄皮を一緒に捨ててしまったのだが、どうもあの薄皮にぐっと甘味が詰まっていたような気がしてならない。萎んだ花のようでも刺身は美味かったのであるが、次に刺身にする時は、あの薄皮は絶対捨てないようにしようと心に決める。
 さて、次は「煮がに」です。
 作り方は「境港ベニガニ料理御指南」に従う。
 醤油とみりんの甘辛い煮汁に、殻の香ばしい出汁と、濃厚なかにミソが溶け込んでいい味である。けれども、単純明快、まさにこれがカニ!といった「切がに」の感動するほどの美味さに圧倒された者としては、この味付けは少しばかり濃いような気がする。しかし、ベニズワイがより身近な境港にあっては、味わいにバリエーションが必要なのだろうとも納得できるし、それに次のメニューであるところの「炊き込み御飯」はこの煮汁が無くては完成しないのだ。実際「御指南」にもあるように「煮がに」は、脚の取れたキズがにを使った漁師飯なのであって、そこには同じベニズワイであっても、全てをいつも美味しく食べようとする知恵が詰まっていると言って良い。しかも簡単であって、秋田でもベニ食が進んだ暁には、秋田オリジナルにアレンジされた「煮がに」が出てきそうな気がする。
煮る前の「煮がに」
「かにミソ」を加え、煮ている途中の「煮がに」
完成した「煮がに」
そして「カニ炊き込み飯」であるが、これが美味かった。失敗を恐れて1合分しか作らなかったのだが、それこそ失敗だったと忸怩たる思いをしているところだ。それに「御指南」によれば「揚げがに」の油を加えて炊き込むことで、さらに香ばしさが加わると云う。あぁベニ食が止められない。
かに肉、かにミソ、煮がにの出汁でつくる「カニ炊き込み飯」
まさにカニの全てが詰まった カニの宝石箱 
陶然となる美味さ
ところで、6月22日は「蟹の日」だと云う。
 五十音順で「か」が6番目、「に」が22番目だからだそうで、あの「◯に道楽」が定めたらしい。 年がら年中、蟹の日にすると、年がら年中サービスデーになるわけで、「◯に道楽」でも大変だからかもしれないが、これでは一年に一回しかやって来ないではないか。たとえば、10本脚にちなんで毎月10日とか、あるいは「火、2」で毎月第二火曜日を蟹の日にするとか、いすれにしても月1回はベニズワイガニを食べてみるというのはいかがでしょうか。それが可能なくらいにベニズワイガニは、家庭的なお値段で、しかもそれだけの実力を持つ美味さだ。

2013年7月15日月曜日

ベニズワイガニの実力(その1)

さてさて、「ゼロイチハチゴーニイサンーミンナイイオトコ」。皆さん解読できましたか。
解読できた皆さん。ベニズワイガニの実力を試してみませんか。


 まず、解読して得られる4桁-2桁-4桁の数字をダイヤルすることが、「生」ベニズワイを入手する第一歩。首尾よく予約し、自宅から外に出るのが第二歩目。自動車のアクセルを踏み込むのが第三歩。お店に入る第四歩。あとは受け取って帰るだけ。そして自宅の玄関をくぐる第五歩。すなわち、たったの五歩で、下の写真のような「生」ベニが手に入る。

棲んでいる場所が、あまりに深いためか、上を向いても仕方がない?
上方志向のまったく無さそうな眼
下向志向?
さて、これから「生」ベニを調理して、その実力を検証する。
 そのためのレシピは、こちら「境港ベニガニ料理御指南」↓↓↓を参考にした。
http://www.pref.tottori.lg.jp/secure/415097/090318benigani_recipe.pdf
実は、このレシピ集。鳥取県境港の「ベニガニ有志の会」によるもの。初代会長は、元漁師の型破り水産庁官僚として有名なあのウエカツさん。
ウエカツさんについては、こちらも参考に→http://www.re-fish.jp/date/2012/04?cat=4
 何はともあれ、最初の仕事は、甲羅を外すこと。
 左右の脚を持ち、腹側に二つ折りにしてから、甲羅をバリバリと外します。この甲羅外しも少しコツが欲しいようですが、それも2回目で慣れます。大丈夫です。
 甲羅を外してみて気が付いた。生カニの甲羅の内側を見たのは、生まれてほぼ初めての経験。いつかどこかで見たような気はするけれども、ここまでマジマジと見たのはやはり初めてだ。なにしろ、カニみそ(肝膵臓)がこんな状態で収納されているとは思わなかった。

エイリアンを開いたところ 
真ん中の乳白色のものが「かにミソ(肝膵臓)」
両脇にある歌舞伎の髷のようなものは「エラ」
  じっくり見ていると、まさに映画のエイリアンのように、飛びかかってきそうな気がするほど、生々しく、少しグロテスクな感じがしますが、それは最初だけ。二度目から、グロテスクなんて感じることは全く無くなり、「美味いもの」にしか見えなくなるのでご安心を。
 では、まず、「切りがに」からつくってみます。
 甲羅の下や内側にあるかにミソを、氷を入れた薄い塩水中に振り落とします。かにミソは見た目よりも、以外に体の内側まで詰まっているので、丁寧かつ入念に掻き出すことが必要。その後、キッチンバサミで、エラとアゴの部分を切り落とし、二つ折りにした真ん中から、左右に半分に切り離す。これで、大鍋が無くともカニを茹でることができるのである。
「生かにミソ」 2匹分
あとは、沸騰させた塩水(薄いすまし汁程度)で11分。
 水っぽいなどと、ズワイガニの後塵を拝していると言われて久しいベニズワイガニであるが、この「切りがに」を食べたら、まさに眼からウロコ。 
 身肉もみっしり詰まっていて、しかも、ほくほくした甘みがあって美味い。美味すぎる。
 びっくりするほど、美味い。この美味さを体験したならば、ぜひ広く知らしめなければならないとの義務感を感じるほどである。
 次に「かにミソ」。ズワイガニやタラバガニでもそうだが、甲羅ごとボイルしてあるカニだと、あちらこちらに散らばってしまっているし、どうしても茹で汁と混じり合ってしまう。それが、自分で茹でる「切りがに」だと、「かにミソ」は別に調理するわけで、100%濃縮で混じり気の無い濃厚な味わいを楽しむことが出来る。この美味さにはもう病み付きになってしまうし、ズワイガニやタラバガニに比べてもリーズナブルな価格がそれを可能にしてくれる。

自宅で簡単に出来る 「切りがに」
100%「かにミソ」煮詰め中
「切りがに」 驚くほど、美味い
100%「かにミソ」は「切りがに」の身肉に付けてもGood!
「焼きがに」、それに「揚げがに」。
「揚げがに」は、塩コショウが引き出したベニズワイの甘さをじっくりと堪能出来るし、それに殻の香ばしさが味わえる。

「焼きがに」作成中
「揚げがに」
塩コショウが、ベニズワイの甘さを引き出しています
 カニの王様と言えば、ズワイガニとか、タラバガニが世間の常識とされる傾向があるけれども、それはベニズワイガニをしっかりと食べ尽くしたことが無いからだ。
 もちろん、ズワイガニやタラバガニ、それにケガニも美味いのであるが、リーズナブルで、ここまで美味さを楽しめるカニは他にはいないと思う。
 さて、次回は、「刺身」や「煮がに」にチャレンジします。

2013年7月12日金曜日

秋田県ベニズワイ食振興協議会(その2)

 ベニ食振協設立記念投稿 第2弾
 第1弾は、お手軽な「ボイル」ベニズワイでしたが、これからあなたを「生(生鮮)」ベニズワイの世界へ誘います。
 ところで、なぜ、ベニズワイを「生」で見かけることがほとんど無いのか?
 松葉ガニや越前ガニとして知名度はトップレベルのズワイガニが、水深200~300mをナワバリにするのに対し、実はベニズワイガニは、何を考えたのか、それよりもさらに深い800~1,000mの超深海で暮らしている。そんな場所の水温は、冷蔵庫よりも冷たい0~1℃しかない世界で、しかも真っ暗闇だ。さらに水圧は1四方に1,000トンもの重さに相当する。もう少し分かりやすく例えると、1平方センチ、つまり小指の爪に1トンもの重さがかかる状態とでも言えば実感できようか。とても過酷な世界だ。そのためなのかどうかは正確には分からないけれども、地上に水揚げされたベニズワイガニは、文字通り重圧から開放されて、気が抜けてしまうのであろうか、鮮度落ちが早いのだそうだ。なので、普通は「生」の姿で流通することがほとんど無いのだそうだ。
「生」ベニズワイは予約が必要です
ゼロイチハチゴ-ニイサン-ミンナイイオトコ
なので「生」を入手するには、漁港まで赴かねばならぬし、自分で料理せねばならぬ。しかしである。その苦労を補って余りあるほどの褒美が待ち受けている。と言っても、私自身、茹でガニ、焼きガニ、揚げガニの3つのベニズワイ料理しか試していないので、あまり大きなことは言えないけれどの、食の大きな楽しみの一つを手に入れることは間違いない(と思います)。
 その前には、まず「◯◯水産」さんへ電話を一本。すべてはここから始まる。前述のとおり、水揚げされたカニは、通常はボイルになる。だから「生」ベニズワイを入手するには、水揚げ後、ボイルに回さずに、特別に寄せておいてもらうことが必要である。それに漁は1月〜2月を除き周年行われているとはいっても、時化が続けば水揚げは無いし、普通は一航海2泊3日なので、時化がなくとも毎日水揚げされるとは限らない。だから、漁港に車を走らせる前に、漁に出ているか、それに生鮮を寄せておいて欲しい旨を電話で予約しておく必要がある。
 なお、このブログはあくまで地魚とその味の探求記であって、お店を宣伝する目的では無いので、具体的会社名は伏させていただくが、美味い地魚を紹介しておきながら、その入手元を教えないのはいかがなものか、との声にも応えなければなるまい。なので、手がかりを少し。お店の会社名「◯◯水産」の◯◯には、所在地であるところの「男鹿半島、男鹿市」に共通の漢字二文字が入る。それと次の暗号も何かの手がかりになるので、ぜひと解読にチャレンジしていただきたい。「ゼロイチハチゴーニイサンーミンナイイオトコ」。
「ゼロイチハチゴーニイサンーミンナイイオトコ」を解読し入手した「生べに」
水深1,000mの暗黒の重圧から開放された「生べに」
さて、次回はいよいよ「生」ベニをいただきます。

2013年7月7日日曜日

秋田県ベニズワイ食振興協議会(その1)

 このほど「秋田県ベニズワイ食振興協議会」が発足した。略して「ベニ食振協」。会長兼会員1名のまだまだ小さな組織であるが、これから会員数はぞくぞくと増えるはずだ。なぜならベニズワイにはそれだけ人を惹きつける実力があるのだから。
   しかし、多くの人にとって、「カニ」と言われても、頭の中に思い浮かぶのは、タラバガニ、ケガニ、ズワイガニといったところではなかろうか。インターネットで調べてみた限りなのだが、かに専門店として有名処の「か◯本家」や「か◯道楽」でもベニズワイを使ったメニューは無いようだ。何ということだ。両社の経営陣に食材の見直しを進言せねばならぬ。そしてそのようなことも「ベ二食振協」の重要な活動の一つであると、会則第3条に定められている。
 ベニズワイは、どうしても「松葉がに」や「越前がに」と呼ばれブランドになっているズワイガニと比べると、格下あるいはその代用として見られがちだが、そんなことは情報だけを食べて、しっかりとベニズワイを食べたことの無い素人が言っているに過ぎない。
 だから、みなさん、しっかりとベニズワイを堪能しましょう。
 まずは、初心者向けに、ボイルから始めましょうか。
 それには、ベニズワイのボイルを手に入れなければならない。蕎麦には、「蕎麦の三たて」という言葉があって、「挽きたて」、「打ちたて」、「茹でたて」がもっとも美味いという。これにならって、「ベニ食振協」では、ベニズワイの「三たて」を定めた。すなわち「獲れたて」、「洗いたて」、「茹でたて」がそれで、これは会則第4条に盛り込まれてある。なので、会長兼会員は、「ベニズワイの三たて」を求めて男鹿半島に足を運んだのであった。
 とある土曜日の朝8:00。男鹿の船川港で、秋田で唯一のベニズワイガニ篭漁船が水揚げをしていた。まさに「獲れたて」。

いまでは秋田で唯一のベニズワイガニ篭漁船
漁期は1、2月をのぞく周年で、一航海は2泊3日


港近くの加工場兼直売所 紅いカニののぼりが目印

加工場一杯に湯気が立ち上る
大釜でぐつぐつと20分
ここで水揚げされたベニズワイは大半が県外へと出荷されるというが、残りは港からすぐ近くの加工場に運ばれて、甲羅の泥や汚れを落とすためにきれいに洗われる。ここで「洗いたて」をクリア。
 そして、ただちに大釜で一気にボイルされること、およそ20分。
 茹で上がるのを待っている間、決して物欲しそうな顔をしていた訳ではないと思うのであるが、「茹で中」の脚を一本ご馳走になる。なんと、これには、会長も「じぇじぇじぇ!」であった。食べたことの無い初めての食感と味である。少し砂糖を抑えた温かいカニのプリンとでも言ったら良いのだろうか。カニ肉といえば、あの弾力のある繊維を断ち切るような歯応えがあるものだが、「茹で中」には、それがまったくなく、プリンのように溶けるようにして胃袋の中に納まる。「男鹿半島一周海の幸グルメ満喫日帰りツアー」なんてものがあったら、この「茹で中」は絶対に目玉になるはずだ。通常は、茹で上がったら、すぐさま、冷水に入れられて、クールダウン。さぁ、これで「三たて」が揃ったことになる。
 その後、選別されて、店頭に並ぶ。

茹で上がり
クールダウン中 まるでサウナの水風呂のよう
安い!!
これが「三たて」ベニズワイだ
「三たて」にもかかわらず、とてもリーズナブル
産地ならではの「訳あり品」もあるし、とってもお得
 このボイルベニズワイ。持ち帰って、すぐ食べることが出来るし、リーズナブルなので、色んな食べ方が楽しめる。
 もちろん、そのまま、甘みのある、かに肉を、ひたすら寡黙にカニフォークでほじくり出して食べても良いのであるが、それが毎日のように続けば、家の中はきっとどんよりとしてしまう。なので、「ベニ食振協」では、ほじくり工程を食卓には持ち込まずとも、ベニズワイの美味さを堪能できるような、食し方もお勧めしている。たとえば、かにクリームコロッケや、かにグラタンにしたり、まだまだあるであろうが、それらだけでも、ホテルオークラや帝国ホテル(行ったこと無いけど)もびっくりの一品が出来上がる。しかも安い。ぜひお試しいただきたい。

これはかに酢 男鹿のワカメを添えて

新鮮な「三たて」のベニズワイを使えば、さらに美味いクリームコロッケ
ベニズワイグラタン
 ところで、「ベニ食振協」としては、いわゆる提灯記事と誤解されないよう、今回訪問した会社の名称や連絡先を明記することは避けるが、インターネットで、男鹿、水産、ベニズワイなどをキーワードに検索すれば、ヒットするので、ぜひご利用されたい。あるいは、記事中の写真にある4桁-2桁-4桁の数字をダイヤルしても良いかも知れない。
 次回の「ベニ食振協(その2)」では、上級者編として、自宅で茹でる生鮮ベニズワイ食を提案する。さて、そのお味は、いカニ。乞うご期待。