2013年11月30日土曜日

サケを一匹手に入れたら

 冬も近づく11月のとある日。目の前に横たわるのは全長60センチほどのメス鮭だ。当然のことながら、いつものアジなんかと比べるとはるかにデカい。



彼女です。サケなのにマグロ状態とは、これいかに?
 そんな彼女と向き合い、人一倍つぶらな黒い瞳を見つめることしばらく。このまま黙っていても、彼女はきっと身動き一つしないだろうし、好きにしてとも言わないはずだ。こんな状態の女性を指して我々人間の間では、マグロとも呼ぶらしいが、何ゆえマグロかの考察はまた後にしよう。とはいえ、ナイスバディーであることは確かだし、さてさて彼女をどうやって頂こうか。あんなことやこんなことやと妄想だけは逞しく膨らむのであるが、実際、目の前にすると、どこから手を付けようか迷ってしまう。
 ええい!ままよ!まずは彼女が身に付けている邪魔な衣服、あっ違った。鱗から丁寧に脱がして、あっ違った、包丁で丁寧にはずしてあげましょう。しばらくバリバリしたところで彼女は一糸まとわぬ、あっ違った、一鱗まとわぬ姿をあらわにする。
 さて、次はどうしましょう。いきなりで彼女も驚いているようだけれども、足の付け根の辺りに指を這わせてお尻を探し出します。そしてお尻から包丁を喉元へと、すると鮮やかな紅色のでっぷりとした筋子が顔を出します。
優しく丁寧に。けして爪など立てないように。
新聞紙さえあれば、
家庭の台所でも捌くことができます。
 さっそく筋子は100円ショップで購入したところの焼き網にのせ、優しく優しく、丁寧に丁寧に、撫でるように、ほぐしていきます。最初のうちは抵抗していた彼女も、しばらくすると観念したのか、筋張った筋子はポロポロとイクラに姿を変えて、焼き網の下のボールへこぼれ落ちてきました。これを薄い塩水で数回洗ってから、醤油と酒同量に漬け込むこと一晩。イクラ醤油漬けの完成です。

まだ、お互い緊張してます
こんな風になれば、心まで通い合った証拠
 あとは彼女のチャームポイントのおでこから鼻先も愛してみようかと思い、氷頭なますも作ってみました。三枚におろしたサーモンピンクの柔らかな身は、ムニエル、フライ、マリネなんかでも愛して、あっ違った、味わってみました。それに、彼女の骨まで愛してたい。ので、中骨と頭は三平汁に。
いくらでも食べてしまうイクラ軍艦
イクラ丼&三平汁セット、氷頭なます付き
ムニエルにも
フライでも
マリネに
パスタにも
 あぁ!どんな料理法で頂いても彼女は凄かったですねぇ。舌にねっとりと濃厚に絡みつくイクラ。官能的な噛み応えの氷頭。三平汁には彼女の甘みが滲み出てきてます。ムニエルなんかでは、彼女のしっとりと張りのある甘い身体をじっくりと堪能してしまいました。
 醤油漬け焼きでも頂いたのですが、目を離したすきに彼女は黒こげになってしまいました。
 あぁ。なサケない。。。

2013年11月12日火曜日

ハタハタの旬は?

 秋田名物ハタハタの旬はいつ?と聞かれたら、みなさん!「今でしょ!」と答えましょう!!
 しかし、その前に一つだけやらなければならないことがある。そう、まずは食べて本当に旬なのか、美味いかどうかを確かめねばならない。
  とは言え、しからば、なぜ今10月~11月が旬なのか? それは、冬の産卵期を前に、身肉には脂がのっているからだ。実際、ハタハタの身肉の脂は、9月頃にもっとも多く、産卵期に向けて少しずつ減っていくらしい。
 けれども、秋田の沖でハタハタが本格的に獲れだすのは、今の時期なので、したがって、今の時期、すなわち、10月~11月に脂ののったハタハタの味わいが楽しめる。

底びき網漁の漁期は9月~翌6月まで

 そして12月にもなると、今度は、産卵のために沿岸に訪れるハタハタの大きなブリコ(卵)を味わう旬が来る。つまり、正確に言えば、秋田のハタハタには、贅沢にも旬が二回もあるのである。ハタハタとは何と素晴らしい魚であろうか!そして身肉の脂を味わう第一の旬が「今でしょ!」なのだ。
  しかし、この第一の旬、秋田県人でも知っている人は多くはない。せっかくの旬を逃すとは、けしからん!。今からでも遅くはない「ハタハタの旬は、今でしょ!」を合言葉に、秋田県人はサンマの代わりにハタハタを食べよう。というよりも、食べねばならぬ!
 ということで、沖合で獲れた「第一旬ハタ」。この時期のハタハタは、底びき網によるものなのであるが、水深200m前後の深海から水揚げされて間もない新鮮な魚体は、つややかで薄く透き通った黄金色に輝いていて美しい。

「第一旬ハタ」は、透き通る黄金色 美しい
  さて、身肉の旨さを確かめるには、焼き物だ。塩焼きで頂いてみよう。それと、今、流行だと言う塩麹にも漬けてみました。さらに煮付けにも。

「第一旬ハタ」の塩焼き
「第一旬ハタ」の塩麹漬け焼き

塩麹は地場産を使うべしとの忠告を無視して、〇コメ社製を使ってしまいました。すみません。次回は地場の塩麹でいきます!でも、ほどよい塩加減と麹の甘さが、上品でいて淡白な身肉の旨さを引き立てます。
「第一旬ハタ」の煮付け
 もちろん脂の多さは旬のサンマほどではありませんが、しっとりとした繊細な旨さがあります。煮付けの煮汁にも、粒の小さな脂が浮かんでいます。秋田県人のように、控えめだけれども、心がひきつけられて、もっと食べたくなる奥ゆかしい旨さとでも言えましょうか。それに、ブリコを味わう第二の旬の真冬のハタハタと違って、身肉は歯応えも心地よく弾ける若さを感じます。
 それとですね、まだ発育途上のブリコや白子がいいですね。どちらも産卵期が近づくにつれて、大きくなり硬さが増してきますが、今の第一の旬のものは、柔らかく、たおやかです。ブリコの一粒一粒も小さくしっとり。
 さて、みなさん、ハタハタをいつ食べるの?今でしょ!
 食べたら、ゆっくり、くつろいで、その旨さの余韻に浸ってください。どこで?居間でしょ!

2013年11月10日日曜日

3年B組カンパチ先生

 「君たち、いいですか。という字はねぇ、ひとと、ひととが支えあっているからなんですよ。」ってのは桜中学3年B組のキンパチ先生だ(古すぎる!)。確変!リーチ!なんてのはデジパチで。きな臭いのはドンパチ。あっ!そう言えば確か3年B組の後は、シンパチで、その次はセンパチ。そして、シリーズの最後は確か故川谷拓三さん演じるカンパチ先生ではなかったか(やっぱり古い!)。と言うことで。。。どう言うことだとのお叱りを覚悟で、今回は、カンパチです。




 カンパチは漢字で表すと「間八」。左右の上あごから、それぞれ目を通って額に抜ける帯状の模様が、正面から見たときに八の字のように見えるからだそうで、きりっと手入れした眉毛のようだ。支えあって幸せに暮らしている人の間に、意地悪にも頭から突っ込んで、離れ離れにさせたようにも見えなくもない。もしかしたら、幸せに飢えた不良少年なのかも。学校や家庭で何かあったのだろうか。
 さておき、お味の方はいかに。まずは刺身にしてみました。さっくりとしながらも、それでいてしっかりした歯応えがある。特に腹身側はしっとり細かな脂肪の旨さと甘さがいいですね。飲み込んだ後からも、旨味をじわじわと感じます。美味い!。

 
 塩焼きでも頂いてみましたが、塩で旨みが引き出されてさやに火が通った身肉は、しっとり細かな繊維を噛むたびに甘さを感じます。これも美味い!あら煮も良い。美味い魚はどう食べても美味いということを実感します。


 


 額の八の字は、不良少年の印ではなかったのだ。本当は優等生なのであって、少し手をかけてあげれば、見事に変身する。「すまないカンパチ。君は、腐ったみかんなんかじゃない。その八の字眉毛は、美味さの末広がりを表現していたんだな。」と金八さんも言うだろう。
 ところで、地方から東京の築地市場にカンパチを運ぶ時、トラックは必ず東京都道311号線を走ると言われている。それは環八。。。(もちろん冗談です。)。