2014年9月20日土曜日

初ハツ体験

   四十半ばを過ぎた男の初体験のお話です。
   聞かなくてもいいって?
   そんなこと言わずに聞いてくださいな。
   ではまずマグロから行きますね。マグロの初体験なんて、なんの反応もなくて面白くも感動も無かったろうなんて言われそうですが(マグロがなぜ反応が無いのか?そのあたり分からない方は読み飛ばしてください)。そんなことありませんでしたよ。

秋田でもクロマグロが獲れるんです!
そうかと言ってピチピチ跳ね回るのかと言えば、やはりピクリともしない。そもそもピチピチ跳ね回るのに最重要な部分を引っ張り出しちゃったんですから。つまりマグロの心臓。マグロのハツです。マグロのハツがまな板の上でゴロンと横たわりマグロ状態になっている訳ですね。

マグロ状態のマグロの心臓
   心臓だけに少しグロテスクだし一歩引きそうになりますが、やっぱり食べてみたい気持ちが後押してくれますね。もみもみしながら血抜きをして、スライスしたハツを刺し身とフライパンで炒めていただきます。

ハツの刺し身です。
分かりやすくたとえると、魚風味の淡白なレバーといった感じでしょうか。
ハツの炒めです。
分かりやすくたとえると、かつお節をかけたレバー炒めといった感じでしょうか。
   刺し身はニンニクよりも生姜があいますね。味わいは歯応えのあるあっさりしたレバーのよう。
  炒めものもベースはレバーなのですが、かつお節9割にレバー1割混ぜたような味わい。飲み込んだあとの口中には魚の旨味の余韻が残ります。
   無反応どころかとても面白く美味しいひと夏のハツ体験でした。

秋サケのハツ体験
   では、もう一つ秋のハツ体験のお話を聞いてください。
   サケです。サケの心臓です。
   新潟なんかでは「どんぴこ」と呼ばれ食べられていることは知ってたのですが、マグロと同様にこれまで体験したことはありませんでした。
   秋田の地魚を味わい尽くそうとの志を立てた人間として、なサケないとは思いながらも、自分でサケをさばいても一匹に一個しかないし料理するのも面倒なのでほっちゃってたんですね。
   けれども地魚食いの立志伝中の人として認められるには、サケては通れない課題でもあった訳なんですね。ハツ体験は。

塩コショウをして
   そんなところにサケのハツだけが手元にハツ入荷した訳ですね。それもたくさん。
 ということで、マグロ同様、まず血抜き。
   そんであとは、塩胡椒をして串焼きです。

串焼きに
分かりやすくたとえると、柔らかい魚風味の鳥もつ
  焼きあがった姿も似ているのですが、柔らかめの淡白な鳥もつといった感じです。
 砂糖、醤油で甘辛く煮付けてもいけそうです。
 というか、マグロのハツもそうですが、魚料理の居酒屋の定番メニューにあって欲しい。そんな一品です。
 いずれにしても、まだお済みでない方は、ぜひ体験してみてくださいね。ハツ体験。

2014年8月27日水曜日

磯のあわびの両想い

   正直に申し上げて、わたくしはこれまでアワビというものに決して良いイメージを抱いていた訳ではありませんでした。つまりですね。値段が高い割りにそんなに美味しいのかな?との思いとともにこれまで生きてきたのであります。つまりですね。コスパです。コスパ。CP、つまりコストパフォーマンス。いわゆる費用対効果ですね。つまり世間で言われてるほどアワビってコストパフォーマンスに優れてるのか?って疑念をぬぐい切れなかったんですね。つまり。

どこにアワビがいるか分かりますか?
 
   刺身にしても甘さだったらツブだって、磯の香りだったらサザエだって負けてない。残酷焼きだとか磯焼きと云われる熱を通した食べ方も美味しいのですが、またまたサザエにご登場いただくと壺焼きの方がコストが低いだけに美味しさの効果は抜群なのですね。アワビを天ぷらにしても美味しいとは思うのですが、甘さは増してくるにしても、せっかくの磯の香りがぼやけてしまう。

水貝です。暑い夏の夕暮れには堪りませんね!
磯の青い海を一緒に食べているような味わい
バター・肝あえソテーです。美味しいんです。
が、繊細な磯の香りが消えてしまうようで、そこが少しもったいない気もします・・・
   誤解のないように言っておきますが、それぞれ美味しいんです。それなら文句はないじゃないかってことなんでが、これまでは費用対効果が1:1を上回ることはあまりなかったような気がするんですね。
   決して値段が高いって言ってる訳じゃなくて、それに見合った効果が欲しかったのです。つまりですね。たとえるならば、素敵なホステスさんがいるなら銀座の高級クラブだって財布の中身なんて気にせず毎日通うと言ってる訳なのです。
   そんな気持ちでこれまでいろんな銀座のクラブを、じゃなかった、いろんなアワビの食べ方を試してきたのですが、なかなか満足いくホステスさんとは、じゃなかったアワビの食べ方とは出会えなかったのですね。
   けれども良く良く考えてみると、好きだけど態度にうまく表せないことってありますよね。好きだからこそ冷たい態度をとったり。だからこっちもその想いに応えてあげられないってこと。あのホステスさんもそうだったんだと考えると合点がいくってこと(ないか)。

蒸しアワビです。ようやく両想いになれました。
刺し身、焼き物、煮物それぞれの旨さのいいとこ取り(のような気がします)
   となれば、もう一度銀座でチャレンジ、あっ違った、アワビに正面から向き合ってみよう。と思い貯金にいそしんでいたところ、蒸しアワビなる料理法に出会ったのです。
   よく洗った殻付きアワビを出し昆布で覆い、ぴっちりとラップをし、ゆっくり2時間蒸しあげます。これは地元の漁師さんから教わった食べ方でしたが、生だけれども生じゃない、生じゃないけど生といった味わいと食感で、刺身、磯焼き、煮アワビ、天ぷらなどなど、それぞれの旨さが口中に重層的にひろがります。刺身の歯応えを残しつつ柔らかで、甘さの中にやわらかな磯の風が吹いてくるような。
   冷たい態度だからと諦めずに良かったと感じた瞬間でした。
   万葉のいにしえより長い間、片想いの代名詞に甘んじていたアワビでしたが、ようやく両想いになれました。

2014年8月24日日曜日

意外ではないイガイの実力

 まわりの人が美味しいって言ってるけど、えっ!何これ?意外に美味しくないじゃんってことってありますよね。皆んなの舌はどうかしてるんじゃない?って思うこと。そしてホンモノの舌を持っているのは自分だけだど一人ほくそ笑んじゃう。
 逆に、まわりが騒いでいないのに、これ意外と美味しいじゃん。ってこともありますよね。そんな時も、この美味しさを感じられるホンモノの舌を持っているのは自分だけだど一人ほくそ笑んじゃうんですね。
 まぁ結局のところ、美味しくても、それほど美味しくなくても優越感と自己満足にどっぷりと浸る訳なんですが、誰もが素直に美味い!というものも世の中にはあるんですね。
 意外と美味しいね。だとか、意外に美味しくないね。とかの言葉を一切受け付けないものが。
 そんなものどこにあるのかって?足元を見てください。そう。地面に生えているんです。
まぁ地面と言っても海の中だし、それに生えているというか、海底にへばり付いているんで、なかなかお目にかかれないんですが、ムール貝の仲間です。えっ?ムール貝なんてって?やっぱり意外でした?
 けど、ムール貝と言っても、そのおばけなんです。おばけ。
 えー、おばけと言ってもおどろおどろしいじゃなくて、もんの凄く大きいって方の意味です。

海底の岩にへばりついてます
   それでですね、その名も意外や意外!イガイ。誰がなんと言おうと本名イガイ。それイガイにありません。
 ところでムール貝のおばけって言ったんですが、普通のムール貝は、大きくても殻の長いところで10㎝くらい。だいたいは5㎝程度。それに比べるとイガイは20㎝を超えるものもあります。大人っでも手のひらに余るくらいに大きくなるんですね。ほら、おばけでしょ!ムール貝なんてかわいいもんです。
でかい!でしょう?
   それでは頂いてみましょう。
 たぶん全国津々浦々でいろんな食べ方があるんだと思うんですが、イガイの実力を素直に味わえる、すなわち誰もが美味いという二つの食べ方をご紹介しましょう。
 秋田でイガイは素潜りで獲られているので、必然的に旬は夏なんですが、同じく旬の夏ナスと合わせた味噌汁がその一つです。

夏はこれです!
   では、熱々のところを一口。フーフーズーズー。ゴクリゴクリ。うぉーあぁー甘い!甘い!
 まずですねイガイ本体から浸み出してきた奥の深い甘さに、うーぐー!と喉が勝手に唸ります。
 この甘さはなんと形容すれば良いのか。シジミのみそ汁の甘さを5倍濃縮にして多少の野性味と塩味を加えた感じとでも言いましょうか。
とにかく深いコクがあって五臓六腑に染み渡る甘さですね。
 それに夏ナスのさっぱりした青い甘さと、そのスポンジのような実に吸収されたイガイのダシの甘さがハーモニーを奏でます。イガイのみそ汁には夏ナスに限りますね。
  試したことはないのですが、ジャガイモなんかだときっとお互いよそよそしくなって決してソリが合わないはずだ。
  ダシの甘さをじんわりと味わったなら大きくぷっくりと充実した身をいただきましょう。
  それこそイガイの五臓六腑を丸ごと頬張ることになるので迫力の食べ応えです。身の美味しさはなんと形容すれば良いのか。ホタテのウロに歯応えと甘み、それに旨味を加えた状態を想像してください。そこにほんのちょっぴりサザエのシッボのえぐ味を足してみてください。そんな美味しさです。
  それにですね貝柱は小指の先っぽほどの大きさでありながら、甘さは負けますがホタテの干し貝柱のよう。噛むごとに柱は何本にも細かく分割されていきますが、いつまでも噛んでいたい。そんな美味しさです。
これは焼きイガイ
イガイカレー
   さて、二つめの食べ方ですが、蒸しイガイです。蒸し器に入れて蒸すだけ。閉じた二枚の貝殻が開いたら出来上がり。貝殻の開き具合によってはダシが漏れ出してしまうのがいささか具合が悪いのですが、完全ボイル状態のみそ汁とは違って、やや甘さも弾力も弱いのですが、生に近い野性味の濃いイガイの旨さが味わえます。いずれにしろイガイは「意外」なんて枕詞は不要な実力を持っているのですね。

蒸しイガイ
つくづく似ている(らしい)
   ところでイガイというのは日本全国共通の名前なのですが「あるモノ」に似ているので「ニタリ貝」と呼ぶこともあります。
 本当につくづく「あるモノ」にそっくりなのです。
 実を言えば今回のお話も、そちら方面へ発展させていきたい衝動に幾度もかられたのですが、それでも低きに流れることなく、無事ここまで辿り着くことが出来ました。
 何が一番意外かと言えば、そんな自分が意外でありました。

2014年8月23日土曜日

キス三昧

今年の夏はハマってしまいましたねぇ。
ハマったって?何に?ということですが、それはですね、キスです。キス。
そうなんですキスなんです。それも海の女王様と。
不惑の年を過ぎて、まさか!とは思いましたが、不覚にものめり込んでしまったのでありました。一度その味を知ってしまったら簡単には忘れられないものって誰にでもありますよね。この夏、わたくしが覚えたキスの味はまさしくそれでありました。

ということで、なんと今回は、わたくしがこの夏体験したキスの味を、皆さまにもおすそ分けしましょう。そんなのいらないって?まぁ〜そう言わずに聞いてあげてくださいな。
“わが青春のアルカディア号”
トチローが5000円のスコッチウイスキーと交換してくれました(笑)

虹色に輝く肌がきれいな女王様
キスです
本名はシロギス
それじゃあ、まず、あの〜その〜いきなりでなんですが、熱〜いキスからいっちゃいますね。
熱〜いキスと言えば、なんと言っても天ぷらです!天ぷら!
熱〜いだけじゃなくで、甘〜いジューシーな天ぷらキスを味わっちゃいました。
まず舌先が甘〜い天つゆをとらえますね。


“熱くて甘いキス” 天丼にしてみました。
天つゆ・コロモ・白身の甘さの三重奏
そんで香ばしくアツアツの甘いコロモを歯先でサクリと噛みしだいた瞬間、ジューシーでホロホロとした品のある白身の甘さが待ち構えていたのでありました。
これをハフハフしながらいただきます。あまり自己主張が強い甘さだったりするとそうはいかないけれども、このキスは何回でも、あっ違った、何枚でもいけますね。
熱くて甘いキスとは、まさに天つゆとコロモ、そして白身とが奏でる甘さの三重奏なのでありました。
天ぷらにする際には、背開きにして背骨を外してあるのです。外した背骨は、骨せんべいにして、骨まで愛しちゃいました。

骨まで愛しちゃいます。ほねせんべいにしてみました。
“熱~いキス” シンプルに塩焼きです。
一夜干しにしてみました。熱いけど、乾いたキスです。
続いては、そうですね、じゃあ、とろけるキスを味わってみますか。
と言うことでお吸い物です。
お吸い物の何がとろけるんだってことですが、身にまとった薄くて透明なぷるぷるの片栗粉の膜が舌先をつるるんとくすぐったと思ったら、口のなかで白身と混然一体となってとろけていくんですね。とろけるように官能的でありながらも、とても上品な大人のキスでした。

“とろけるキス” 結びキスのお吸い物です。
ぷるぷるの片栗粉と白身が渾然一体になりとろけます
では、最後になっちゃいますが、冷めたキスです。
姿造りにしたり、刺し身、握り寿司なんかでいってみましたね。

“冷めたキス(その1)” 姿造りに。
“冷めたキス(その2)” 奥から時計回りに、昆布締め、刺し身、糸造り(ちょっと太め毛糸のようですが:笑)。
“冷めたキス(その3)” 握りにしてみました。
冷めたキスというと、サヨナラなんて言葉も思い浮かぶのですが、このキスからは離れることなんて出来ませんね。冷めたキスだけに、淡白ですが、ほんのりと甘さを感じるキスでした。
いずれにしても海の女王様は、どんなキスでも受け入れてくれますね。
どんなキスでも?
あっ!和風料理でしか食べてなかった!!
フレンチを忘れた!

2014年8月9日土曜日

カキ食えば

さて、みなさん、秋田のうまいもんを思い浮かべてみてください。
超メジャーなところでは、ハタハタ、キリタンポ、比内地鶏、稲庭うどん、あきたこまち、いぶりがっこ、それにギバサ。それにジュンサイにとんぶりに、あっ、最近では横手焼きそば、バター餅も有名になってきましたね。まだまだたくさんあるのですが、切りが無いのと、豆腐カステラは?、桧山の納豆はどうした!なんていうことなって、横並び意識の強い県民性を持つ秋田県民が分裂することになりかねないので、とりあえずこの辺でやめときます。
それでですね。ようやく本題にはいっていくのですが、ぜひともみなさん、いまこの時から、秋田のうまいもんにイワガキも付け加えておいてくださいね。

秋田では6~8月が旬!
手のひらを超える大きさ!!
なぜかって?なぜかとおっしゃるあなた!そう、そこのあなたです。聞いてください。そして忘れないでくださいね。だって、イワガキって秋田が元祖なんですよ!秋田が元祖!!今でこそ、日本のあちらこちらでイワガキの名産地がありますが、秋田が元祖なんです!元祖!!こんなことを言い出すと、それこそ日本のあちらこちらから、たくさんの反論が出てきて、日本国民が分裂することになりかねないのですが、男子たるもの一度でも口に出して言ってしまったからにはやめるわけにはいきません。
夏場の直売所はイワガキ一色になります
まぁ元祖とか本家というのは言ったもん勝ちのところがあって、それこそ津々浦々で食べられていたわけで、やりすぎると日本広告審査機構からお叱りを受けそうなんですが、少しばかり我慢して秋田のイワガキうんちくを聞いてあげてください。

生ガキ
焼きガキ:個人的にはこれが一番好きですねぇ。加熱によって旨みが凝縮してます。
貝柱も歯応えと繊維感がはっきりしてきます。

チーズをのせてオーブンで
それでは、どっからいきましょうか?
イワガキがグルメブームにのって全国的にメジャーになりだしたのは、平成に入って間もない頃だと言われているんですが、つまり、イワガキの名を日本国民誰もが一度は聞いたことがあるってくらいに知れ渡ってから、まだ20年くらいなんですね。でも我が秋田のイワガキは、30年以上前の昭和の時代から、知る人ぞ知る存在であったんですね。
えっ?そんなこと口だけなら誰でも言えるって?証拠を見せろと?
では、お見せしよう。
岩ガキ号も走ります!!!
象潟港まつり(カキまつりと呼ぶ人も)

ここに一冊の劇画があります。それも寿司劇画の元祖「鉄火の巻平」。実はこれ、知る人ぞ知る名作なんですが、その第8巻で、なんと知る人ぞ知る夏の珍味として、秋田産イワガキの握り寿司が描かれているのですね。じゃあそれっていつの事ってなるんですが、第8巻の初版本は昭和56年の発刊です。なめネコブーム、総理大臣は鈴木善幸さん。そんな時代に食べてました?知ってました?イワガキを。

寿司劇画の元祖!「鉄火の巻平」芳文社コミックス
原作:大林悠一郎、劇画:たがわ靖之
昭和56年3月1日 芳文社発行
30年以上も前に、知る人ぞ知る夏の珍味として紹介されてます。秋田のイワガキが!
それでもご納得いただけない方には、こちらにご登場いただこう。
それでは正岡子規さんよろしくお願いします。ご存知のとおり正岡さんは愛媛生まれの俳人でありますが、今から120年ほど前の明治26年8月のある日のこと。秋田は象潟の大須郷を訪れた正岡さんは、真夏だというのに旅館の夕食に酢ガキと椀が出てきたのを見て驚いている。それで、食べてみてさらに驚き「うまいうまい。非常に美味い。」と言い残している。

仰臥漫録
正岡子規著
昭和2年7月10日発行(初版本) 岩波文庫


食通とは食べ物や料理の知識に詳しい人であるが、正岡さんも食通として知られている。その食通を驚かせ、三度も美味いと言わしめたのが、秋田のイワガキだったのである。つまりです。その当時の食通にさえ知られていなかったイワガキが、すでに秋田の旅館では提供されていたってことは、やっぱり秋田が元祖と強く断定せざるをえないのではあるまいか。
さておき、正岡さんが象潟の旅館で夕食のイワガキを食べ始めたのが、夕方五時頃であったかどうかは定かではないが、そうだったことにして話を進めます。秋田では都市部を除いて、正午と夕方五時に、時を報せるチャイムが流れます。もし、正岡さんが今の時代に生きていたら、こう詠んだに違いない「カキ食えば鐘が鳴るなり十七時」。

2014年5月16日金曜日

夏ぶり食べたか

みなさん夏ぶり食べましたか?
夏ぶりって?なに?とおしゃっる方に少しばかりご説明申し上げますと、その呼び名のとおり夏に獲れるブリのことなんです。なんだ~それだけ?それじゃ普通のブリと同じじゃないの?と思われるかもしれませんが、それが違うんですね。何が違うのかと言えば、そうなんです、良く知られた寒ブリなんかと比べものにならないくらい、脂ののりが違うんですね。どう違うのかとと言えば、寒ブリとは違って脂が全く無いんです。えっ?脂が無いの?全く?そんなんで美味しいのか?と大方の皆さんは思うに違いない。まぁ実際の評判もあまり宜しくない。けれどもですね~それが、さにあらず!脂が無い分さっぱりとしているので、それはそれでの美味しさがあるのです。


確かに寒ブリには口の中でとろけるような脂の美味しさがあります。それは認めよう。けどですね、一度にたくさん食べようとすると、ちと脂気が強すぎる。そうですね、刺し身だと五切れがいいとこかと。そのあとシャブシャブにしても、追加でようやく五切れといったところでしょうか。それでも脂で口がつるつると滑りまくってしまうので、寒ブリは反りの合わない上司との宴席で、ウナギと並んでけして注文してはいけないメニューの筆頭にあげられている(らしい)。
さておき、夏ぶりアラカルトを始めましょう。
トップバッターは「なめろう」。三枚におろして皮を取ったら細かく身を刻んでいきましょう。思いのほかに強い弾力に少したじろぎ、戸惑い、なが~いトンネルに入ったような不安にかられますが、勇気を振り絞り手を動かし続けてください。



ものの数分で眩しく輝ける出口がやってきますから。さて身が細切れになって少し粘りが出てきたところで、味噌、ショウガ、刻みネギを投入しましょう。ほら!いい香りが立ち昇ってきますね。アクセントでシソの葉をちらしたり、白ごまも合いますね。アジにマグロの赤身を混ぜたような味わいの「夏ぶりなめろう」完成です。それに、「夏ぶりハンバーグ」もいけますよ!ソースにはとろみのある甘酢あんをかけて。







もちろん刺し身でもいいのですが、やっぱり脂が少ないので、チョット物足りないとおっしゃる方には「夏ぶりヅケ丼」をオススメしますね。醤油、酒、みりん適量のヅケ汁に15分くらいでいいでしょうか。あの~その~あぁ~しみじみ美味い。マグロと違うしカツオとも違う。夏ぶりならではの味わいです。フライにしてもグッド!!ですね。あ!今度「夏ぶりカツ丼」作ってみよう!
いずれにしても、誰だ!夏ぶりは美味しくないと言ったのは!怒るぞ!ぶりぶり。

2014年4月23日水曜日

春を買っちゃいました

 春を買ってきました!春って、売ったり買ったり出来るの?というか、そんなことしていいのか?と怪訝な顔をされる方も(ごくわずかに)いらっしゃると思いますが、毎年、雪解けが始まり陽射しに暖かさを感じる頃になると、どうしても春を買いに行きたくなってソワソワ、ウズウズしてしまうんですよね。ということで、今年の春も買ってきましたサクラマス。




 しかも、今年は初体験のプレイに、あっ違った、食べ方にチャレンジしてみました。そうです、サクラマスのルイベです。これはかなりS的なプレイですね。あっ違った調理法ですね。なにせマイナス20℃で24時間以上とか、マイナス40℃で急速冷凍というんですから。

目に鮮やかなサーモンピンク。サクラマスの身体はとても柔らかい
半身はラップで、ルイベにすべく冷凍庫へ
結局、マイナス20℃で10日以上経ってしまいました
初自作ルイベ。しっとりとした脂が美味いですね。
これまでの経験で女性の身体はデリケート、あっ違った、サクラマスはとてもデリケートで柔らかな身体をしていることが分かっていたので、優しく丁寧におろしていきます。静かに静かに指先が触れるか触れないか、あっ違った、出刃包丁の刃先が触れるか触れないくらいの気づかいで少しずつ身を開いていきます。ここで焦ってはいけませんね。焦っても女性は、じゃなかった、サクラマスは身体を開いてくれません。はやる心を抑えて、ここが辛抱のしどころ。そうやってようやく初めて待ちに待ったサーモンピンクを拝むことが叶うのでありますね。さてベッド、あっ違う違う、まな板に横たわるとても鮮やかなサーモンピンクを目で愛でつつ、皮を剥いだ半身をきっちりシーツ、じゃなかった、ラップで包んであげます。そんであとはマイナス20℃の冷凍庫でしばらく御休憩。
えっ!御休憩?となると、おあずけを食ったこちらは手持ち無沙汰に。その間に、もう一方の半身はムニエルと塩焼きで、そしてアラはいつものように三平汁でいただいちゃいました。
ルイベの半身は、諸般の事情でマイナス20℃に10日間以上も放置してしまったのですが、冷凍庫から出てきた彼女は、以前とは違う女性に変わっていましたね。適当な言葉が見つかりませんが、大人になったともいえば良いのでしょうか。身体は冷え切っているようでいて、とろとろと脂が溶け出してきます。それも上品な大人の味です。

残りの半身① 塩焼き
残りの半身② ムニエル
アラは三平汁に。塩で引き出されたサクラマスのうまみと、野菜の甘みがマッチしますね。
鉄板メニューですね!
いずれにしても、春を買うことはやめられませんね。